忍者ブログ
参加中の非同期ネトゲをつれづれに記録します。



[20]  [19]  [17]  [16]  [15]  [10]  [14]  [12]  [11]  [9]  [8
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

イル・ニーダの設定から派生 してしまった お遊び文です。

お遊びとか言いながら、エンターテインメント性が欠片もないのは、仕様です。  嘘です。技量がないだけでs orz
童話とFTの丁度中間を掠め取ったみたいな…あの ちょう微妙な感じかもなのですが ええっと  読んだ後に怒ったりしないで下さi(ターン

続きから以降、本編です。


 物心がついたら、というのが一体何歳頃からのことなのか、イル・ニーダには定かでない。

 ただ、気が向けいたときにはいつでも、彼は視界の中に「かれら」を探していたのだ。


 ====================
  みどりのゆび 1 :: 門出
 ====================


 パヴェル・ネヴフスクは、見事な黒髪を風に好き勝手されながら、お前ばかだよと憎々しげに言った。

 「解っちゃいない、お前、何も解っちゃいないよ、イル・ニーダ」

 見晴らしのいい丘の上で、彼らは一幅の絵のように向き合って、ただ突っ立っている。
 パヴェルはごく身軽な格好だ。長い髪を束ねるわけでもなく、旅装とも街着ともつかない小洒落た茶のコートを羽織って、柔らかそうな革ブーツの踵を苛々と打ち合わせていた。

 まるで、これから旅に出る人物を見送る側のようだったが、実際は彼こそがこれから遠い旅路を行くのだ。
 腰に佩いた短剣だけが彼の道行を守ると思うと、内心を不安がひしひしと埋めていったが、敢えてイル・ニーダはそれを言わなかった。

 知っている。その剣は彼の覚悟であり、決意であり、自信と実力の表れでさえあるのだ。

 「パヴェル、おれは恵まれているよ」
 だからイル・ニーダは、幾つかの言葉を飲み込む代わりに、万感の思いで微笑んだ。

 「きみみたいな友人にも恵まれて、教会からは仕事も貰えた。
 おれたちを見守ってくれていた、二人のスォラ(修道女)はもういないけれど、でもあの頃の暖かさは忘れない。
 おれは幸せだよ、勿論、きみも。そうだろう?」

 「いいや、お前はほんとうに解っちゃいないんだ」
 そればかり繰り返すパヴェルは、イル・ニーダの薄紅色の目を睨みつけた。色素が薄い彼の、その肩口には数輪の花をつけた華奢な蔦が、風にそよぎながら寄り掛かっている。

 いつもそうだった。彼がどんなところにいても、気が付けば、イル・ニーダは何がしかの花や蔓に取り囲まれ、まるで聖夜(ナターレ)の花輪のように飾り立てられるのだ。
 何故かは知らない。旅の術士に訊ねてみたことも幾度かあるが、誰にも理由は解らなかった。

 パヴェルはまだ、なお忌々しげだ。もしかしたら、この擦り寄る蔦を眺めているのかも知れない。
 彼は、ただでも普段から口数の少ないイル・ニーダが、この緑色の小さな“アクセサリども”をあたかも友達か家族のように扱うことを、よく昔から嫌がった。

 「――俺のことはいい。好きに生きてきたし、これからも同じように生きていくからな。
 だが、お前は駄目だよイル・ニーダ、とても見ちゃいられない。お前はもっと周りを見るべきだ、この広い世界の、片隅で野ッ原の蔓薔薇なんかに埋もれて暮らす……ただそれだけでいいのかよ。
 挙句の果てに、仕事だ? 体よく使われているだけだって、何回も言ったじゃないか!
 何故断らなかったんだよ、あんな危ないだけの、生贄みたいな仕事じゃないか……。お前は、ばかだよ、イル・ニーダ。ほんとうに何も知らないんだ、きたないこの世をなにも」

 紺色のきりりとした目が臥せられて、それでイル・ニーダは、パヴェルが泣き出しそうな顔をしているのに気付いた。
 ――あの気の強いパヴェルが!
 信じられないと同時に、そこまでの友情を抱いてくれていたことへの意外性が、イル・ニーダから声ひとつまでも奪い去った。

 やがて沈黙が降りて来て、彼らはその丘で、まるでひとつがいの欅にでもなったかのように、いつまでも泣き叫ぶ風に吹かれていた。



 パヴェルはその日、南へと去った。
 イル・ニーダと、儚げで強かな彼の友、荒れ野の白薔薇を置き去りに。



 -- -- -- -- --

みどりのゆび 2 に続く。


ここまでお読み下さった方有難うございます!(深々と礼)

題名は、何かこんな映画ありませんでしたっけ…? 見たことはないのですが;
とても園芸の上手い人のことを、あの人は緑の指を持っている、とか言い表すそうなので、その辺りから取らせて戴きました。ちょっと素敵な言い回しですよね。
ちなみに管理人は茶色の指です  なんでも枯らすぜ!(最低)


あとちなみに(二度目)、パヴェルはThe Golden Loreで茸狩りに勤しんでいる自キャラでs orz
このあと貴族のお家に引き取られて、一旦は高給職を手にしますが、そのあとなんか不始末を働いて(←かんがえてない)、そこのお宅をおん出されまして、今=冒険者に至る感じです。たぶん。(…)

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Adress
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Carandre
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
Commentaires
[03/02 トリス(691)]
[03/01 トリス(691)]
[03/01 トリス(691)]
[02/28 トリス(691)]
[02/28 トリス(691)]
Profil
HN:
jq.
性別:
女性
自己紹介:
参加中ゲーム…
*Grand Blaze / E-No.567
ゼクウス・イーオリ(エルヴ♂)
*Soul Drops / E-No.420
イレニア(天使♂)
*精霊伝説 / E-No.532
ウリエル(人間♂)

…男キャラばっかりだ! 何かが露呈した気がします。

全ゲームとも、交流などなど大歓迎ですー。
筋金入りのチキンで申し訳ないですががが orz
Recherche
 
忍者ブログ   [PR]